オールインワン化粧品の正体はいったい何なのでしょうか?ゲル化することで担うことのできる役割は増えるのでしょうか?化粧水などの従来の化粧品の材料と各化粧品が持つ効果から、オールインワン化粧品は具体的にどんな商品なのかに迫ります。
オールインワン化粧品の材料とカテゴライズ
オールインワン化粧品の正体を知るためには、化粧水や美容液などの化粧品がどのような材料で作られているかを知ることが必要です。
カテゴリの種類に関わらず化粧水の材料は、水溶性もしくは油溶性の保湿成分やエイジングケア成分数種、水、油、界面活性剤などです。
界面活性剤と聞くと洗剤のイメージが強いですが、化粧品に用いるときには乳化作用を目的としているため、肌への負担が大きいものが使われることはほぼないと言ってよいでしょう。
オールインワン化粧品を製造する際もほとんど内容は変わらず、違いはゲル化剤を使うかどうか、あるいは使用量がどれくらいかということだけです。
水溶性成分と油溶性成分のバランス、そしてゲル化剤の使用量に応じてカテゴリが決定されます。
水溶性成分の割合がもっとも多い80%以上なのが化粧水で、油溶性成分の割合が増えるにつれ、美容液、乳液、保湿クリーム、スキンオイルというようにカテゴリが変わっていくというわけです。
ゲル化に化粧水や美容液の役割を果たす力はない?
ここで「オールインワン化粧品は化粧水・美容液・乳液・保湿クリームの役割を兼ねるアイテムだったのでは?」という疑問が生じた人は多いでしょう。
ゲル化剤の有無がオールインワン化粧品であるかを分けるポイントであるとしたら、ゲル化が化粧水・美容液・乳液・保湿クリームの役割を果たすことになってしまいます。
しかし、ゲル化剤を使ってゲル化したとしても保湿成分やエイジングケア成分が変化するわけではありません。
つまり、ゲル化 = 化粧水 + 美容液 + 乳液 + 保湿クリームの役割を果たす という計算式は成立しようがないのです。
実際のところ、オールインワン化粧品は、ゲル化剤を使った美容液、ゲル化剤を使った美容クリームなどと言ってよいでしょう。
違いは、水溶性成分と油溶性成分の割合がどれくらいなのかという程度です。
それでは、オールインワン化粧品が複数のアイテムの役割を兼ねるという話は偽りなのでしょうか?
その答えを探る鍵は、化粧水などの従来の化粧品を理解することにあります。
どの化粧品もオールインワンになりうる
オールインワン化粧品と同様、化粧水・美容液・乳液・保湿クリームも明確に区別されているわけではありません。
いずれも化粧品の製造会社が独自の基準でカテゴライズしているものです。
そのため、期待できる効果についてもはっきりとした線引きはしにくいのです。
それぞれのカテゴリの化粧品の効果を示した以下の表を見てみてください。
水分を与える | 水分を保持する | 水分の蒸発を防ぐ | エイジングケア | |
化粧水 | ◎ | 〇 | △ | 可能 |
美容液 | ◎ | 〇 | △ | 可能 |
乳液 | ◎ | 〇 | △ | 可能 |
保湿クリーム | ◎ | 〇 | △ | 可能 |
水分を与える、水分を保持する、水分の蒸発を防ぐという効果をそれぞれどれくらい期待できるかが分かります。
化粧水は前述したように水溶性成分の割合がもっとも多いので、水分を与える効果が一番の強みです。
しかし、それ以外の効果がまったく期待できないというわけではありません。
ヒアルロン酸・コラーゲンといった保湿成分が含まれていれば水分を保持する効果が期待できますし、スクワラン・オイルといった油溶性成分がわずかでも含まれていれば水分の蒸発を防ぐ効果も多少は期待できます。
エイジングケアに関しても、ビタミンC誘導体・ナールスゲンなどの成分を配合することでカバー可能です。
どのカテゴリの化粧品も程度の差はああるものの、オールインワンの働きをすることができるということになります。
従来の化粧品をゲル化したものをオールインワン化粧品と呼んだとしても、間違いというわけではないのです。
まとめ
化粧品がどのカテゴリの商品として扱われるかは、水溶性・不溶性成分の割合、ゲル化剤の使用量によって決まります。
水溶性の割合が多いものから順に化粧水、美容液、乳液、美容クリーム、スキンオイルという区分けがなされています。
その基準は化粧品メーカーがいわば勝手に決めたものです。
オールインワン化粧品の正体を探ってみると、ゲル化剤を使った美容液・美容クリームなどがオールインワン化粧品として扱われていることが分かります。
ゲル化には有効成分を変える働きはないので、複数の化粧品を兼ねる効果が新たに追加されるということはありません。
しかし、各化粧品はある程度オールインワン的な働きをすることができるため、ゲル化した化粧品をオールインワン化粧品と呼ぶことに問題はないでしょう。
化粧品を選ぶ上で大切なのはその商品がどのカテゴリに属しているかを気にすることではなく、配合されている成分が1つ1つどのような効果を持っているのかを理解することです。