オールインワン化粧品がゲル化の際に高分子ポリマーを使っていることから、肌にとって危険と誤解している人がいます。オールインワン化粧品が危ないという誤解の例と、その誤解に根拠がないことについて解説していきます。
オールインワン化粧品の高分子ポリマーが危険?
オールインワン化粧品は、ゲル化の際に高分子ポリマーを使います。
この高分子ポリマーに対する誤った認識を持っていることが原因で、オールインワン化粧品は肌に対して危険があると誤解していないでしょうか?
よくある間違いとしては「高分子ポリマーが皮膚の隙間がなくなり、皮膚呼吸ができなくなる」や「高分子ポリマーが表皮常在菌に悪影響を与えて、乾燥肌や肌荒れが増える」といったものが挙げられます。
また、天然系の高分子ポリマーが出てきているとは言え、高分子ポリマーの主流は合成されたものなので、なんとなく身体に悪いのではないかという疑念を持っている人もいるでしょう。
しかし、そういった認識は大きな間違いです。
香料や着色料といった添加物など安全性を決める要素には他のポイントもあるため、あらゆるオールインワン化粧品が安全ということは断言できません。
ただ、高分子ポリマーが使われているから危険という認識は改める必要があります。
ゲル化剤の高分子ポリマーで皮膚呼吸ができなくなる?
ポリマーと聞くとキッチン用品のラップなどを思い浮かべて、塗ると肌の隙間がなくなると誤解している人がいます。
しかし、ポリマーと一口に言ってもそれぞれが持つ特徴は多岐にわたります。
化粧品に使われるポリマーとラップに使われるポリマーでは性質が異なるのです。
オールインワン化粧品で使われるポリマーは3次元の立体構造をしており、他の物質を通す隙間がきちんと存在します。
しかもオールインワン化粧品全体におけるポリマーの割合は数パーセント程度なので、肌を完全に覆ってしまうことはないと分かるでしょう。
また、皮膚呼吸についても正しい理解をしておく必要があります。
確かに皮膚は酸素を取り入れ二酸化炭素を排出する働きを持ちますが、呼吸器と比べるとその量はわずかなので影響は少ないです。
例えば、バスタブでお湯につかっているとき肌は水分で覆われていますが、皮膚呼吸ができなくて死ぬことはありません。
つまり、皮膚呼吸ができないから危険というイメージそのものも間違っているのです。
高分子ポリマーが表皮常在菌に悪影響を与え、乾燥肌になる?
もう1つよくある誤解が、高分子ポリマーが表皮常在菌に悪影響を与えることで、乾燥肌や肌荒れなどが起きやすくなるというものです。
「表皮常在菌とは?エイジングケアと皮膚のしくみ」で説明したように表皮常在菌は人間の肌にとって重要な役割を持つ存在ですから、そのバランスが崩れることは肌トラブルのリスクを高めることにつながります。
しかし、高分子ポリマーが表皮常在菌に大きな影響を与えるかと言えば、答えはNOです。
先に述べたように高分子ポリマーは隙間が完全になくなるほど肌を覆うものではありませんし、オールインワン化粧品全体から考えるとそれほど量も多くありません。
さらに化粧品に用いられる高分子ポリマーは、安定性が高いという性質を持っています。
安定性が高いということは表皮常在菌による分解が行われないということですから、表皮常在菌が増殖する原因にはなりえないのです。
高分子ポリマーと表皮常在菌は相互に独立した状態で存在できると言っても良いでしょう。
まとめ
オールインワン化粧品にはゲル化として高分子ポリマーが使われているため、高分子ポリマーに対して間違った知識を持っていると危険なスキンケア商品だと勘違いしがちです。
特に皮膚呼吸と表皮常在菌への影響について心配する人が見られます。
しかし、高分子ポリマーは3次元の立体構造を持っている上にオールインワン化粧品全体の中では数パーセント程度の成分に過ぎないため、皮膚呼吸を阻害するほどに肌を覆ってしまうことはありません。
そもそも呼吸全体に対する皮膚呼吸自体の割合は非常に小さく、心配する必要がないのです。
また、肌環境を保つ上で大切な表皮常在菌に対する影響についても心配は要りません。
安定性の高い高分子ポリマーと表皮常在菌は問題なく共存することができます。
もちろん高分子ポリマー以外の部分で肌トラブルが起きる可能性はありますが、少なくとも高分子ポリマーを使っているからオールインワン化粧品は危険という考えは誤りであることが分かるでしょう。